[オーケストラ・スタディの運指と弓付け&両者のトレーニング]付録{左手の第3番目の薬指}

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こんにちは! 石本です。

 

本日は今まで私が何を意識して皆さんに「アンサンブルの達人」造を伝授して行きたかったのか、説明したいと思います。そこで先ず皆様に私の指導法に付きまして理解して頂きたい事をお知らせ致します。

ここでの表記に付きましては、私が考える音楽観”言葉と音楽の接点による音楽の理解”、“言葉と音楽の相対関係”がクラシック音楽を演奏する我々日本人が最も多く演奏されますドイツ音楽=ドイツ語の響きにより馴染んで戴くことを目的にイタリア語や英語も含め、あまり日常表さない文形で度々記入しましたので慣れない方は多少読みにくいと思いますが、私が何を意図し、皆さんに理解して欲しいかを意識して読んで下されば幸いです。この事は留学する!しない!を問わずある作曲家の作品を演奏する時に、その作曲家がどの 母国語を話す人なのか、作曲家の記す楽曲に非常に影響されています。そこを理解した上で演奏すると、しないのとで音を表現していく時に役立ちます。そこで我々日本人が最も演奏する機会が多いドイツ音楽=ドイツ語の発音がどれだけドイツ音楽を勉強するに至り、重要な物であるか今から感じ取って頂けたら幸いです。

 

この課題にはかなりこだわりを持っていますが、作曲者の母国語=言葉は音の響きと精通していることが多く、言葉の響きを理解した上で音符を読んで演奏する。という心構えも付けて貰えましたら嬉しいです。「音符を見て演奏する」と思われる演奏をしている人も多いですが、「音符を読む」という課題を若い内から身に付ける様心がけて戴けたら嬉しいです。

例えばオーパー(オペら)やレクイエム、その他の歌曲等、歌詞が付いている作品でしたら言葉=歌詞が音の動きと直結していると容易に分かるでしょう。それは外国のポップス、その他歌詞を日本語訳で歌おうとしてもぎこちなさを感じることと同じです。また、面白い事に発音する事だけを考えた場合、日本語はドイツ音楽を演奏するのに英語より書いてある文字をはっきりと発音する。という意味では近い面があると思います(イタリア語も似ています)。この様なことは十分分かっていると思う方でも日本に住んでおりますと外国語を言葉に出せる機会が少ないので、宜しければ日頃 作品を演奏する時に少しでも作曲者の母国語を口に出して発音してみたり、意識して下さい。又は言葉を聞くだけでも違うと思います。特に管楽器の方などは欧米人向き(日本人とは骨格の異なる)に作られた楽器を演奏しておりますので、日本語を喋っている中でオイろーパヨーろッパ)のクラシック音楽を演奏することはこの問題を非常にシビアに考えている方も居ります。

 

その他、私のこだわりですが日本社会の語学育成の邪魔をしております和製英語等、私が 長年外国語を話す時に支障を期している発音、RとL、FとV及びW、MとN等の違いなどが長いこと外国語暮しをしていても上手くいかない時が多々あります。人により遅く始めても才能があり、素晴らしい発音で話せる方もおりますが、外国語を耳に自然に身に付けられる年代は6歳ぐらいまでだと言われております中、現代の若い人たちでも苦労している方は大勢いる様です。 

もう手前の幾つかの表記で気付かれた方もいると思いますが、音楽を言葉から理解する意味で私の独断と偏見によりこの後の文書でも以下の様な発音を記してますが、読み直したりしてドイツ語等馴染んでみて下さい。

との違いを表す為に平仮名でR属を「 ら・り・る・れ・ろ 」、L属は「ラ・リ・ル・レ・ロ 」。系は「ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」、「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」、は 「エム)とエンヌ 」とドイツ語やイタリア語の場合はしっかりと発音しますが、英語やフランス語のようにMがNの発音を兼ね備える場合とも違います。例: 「コントらバステmポ」他

  

2017年 吉日

石本 弾

 

運指(フィンガーゼッツェ/フィンガーリング)

今まで序曲「フィガロの結婚」や田園、バルトークと楽譜に私の独断と偏見による運指を書き込んで参りましたが、演奏者の体、手などの大きさ、指や腕の長さ等異なりますので、 あくまでも参考にして下されば結構です。また楽器の響かせ方や癖などによっても同じ奏法が合わないことがありますので絶対にこれしかない!とは言い切れません。昔、ベテランのプロの方が“”どの曲を演奏しても長年演奏していれば運指は誰でも同じである!”と話たり、運指を強制する方がおりましたが、”それは違うのでは!?”と私は考えていました。

 皆さんには私の運指や弓付けを参考にして頂きますが、本当に自分が合う奏法を自ら見つけ出して欲しい!と願います。   しかし貴方が良いと考え演奏している運指が明らかに左手のシフティング(移動)や右手の弓の動きを邪魔している様な時、早いパッセージが弾きにくそうな場合は何か問題がありますので話し合いましょう。 

 

 左手の第3番目の指の表示は主に早いパッセージで使用していますが、日本の教則本を学んだだけですと、ハイポジションのソロ曲を経験していない人にとりまして押さえ辛いと思います。

無理はせず、別の指を使用して下さって構いません。(大抵は第2番の指ですが)

しかし大変有効ですので余裕のある方は後に少し練習法を記しましたので試みて下さい。

 

[上下2種類の運指番号]

 私の作成しました楽譜では音符上で上下に2種類の運指番号を記した個所がありますが、どちらでも良いという事です。   前述に書きました様に使用する楽器又は奏者の指が入りやすい方で演奏して下さい。因に手が大きく指が長い巨人的な知り合いがおりますが、彼はハイポジションで4の指を使用することがあります (私には不可能です) 。

 

Strich = 弓付け(シュウトリッヒ/ボーイング)

私の師匠であります元ベルリンフィル首席奏者のP.R.Zepperitz教授から伝授されたモノが多いですが、部分部分で私のオリジナルも加えました。日頃各楽団のコンサート・マスターや首席 Vc奏者からの要求又は指揮者から好みの弓付けを指示されることはご承知の通りよくあります。 私が付けましたモノはあくまで参考として練習してみて下さい。 弓付けは絶対にこれしか無い!というモノもあればどちらでも良い場合もあります。但し、そこにはアーティキュレーションが備わった音楽的、且つ力学的な意味を備えてないと意味がありません。悪い例ですが、曲を勉強して来ないとただ音だけ弾く。という事に成り、弓付けまでも即席な何も意味の無い弓付けになる事があります。 そして、命の通わない生気のない死んだ音が生まれて来ることもあります。

 また日本ではジャーマン奏法が主流である為、Vc以上のフレンチ・ボウと全ての弓付けが合う 訳ではありません。VcにしてもVn、Vaと力学的や弦の配置の違いもあり強制されてしまうと音楽性が落ちる事もあり心地よくない様です。

(個人的に理にかなっていると思う事は、指揮者がどうしても弓の方向を全員一緒でないと嫌だ!絶対に同じでないとお客さんから見ても見っとも無い!とか格好悪い!!とか拘っている事があります。そんなに嫌ならば、ヴァイオリン=コンサートマスターが弾き易い弓付けでは無くコントラバスから⇒チェロ⇒ヴィオラ⇒ヴァイオリンと弾き易い弓を抜擢し音域の高い楽器が合わせた方が最も効率的だと思っています)

 

{左手の第3番目の薬指}

 僕は左手の第3番目の指をロウ・ポジション内でもよく利用することがあります。それはテmポが速い時だけでなく、フレーズをスムーズに演奏するに於いて音楽的価値を引き出せるからです。早いテmポに置きましては指揮者が作曲者の意向よりも早いテmポを要求されることもあり納得行かない事もあります。

 我々日本人が通常使用しているトー(メソード)では本来1→2→4又は4→2→1と押さえる時の2と4の間が半音の場合2を3に置き代える訳です(1→3→4又は4→3→1)。 ゆっくりしたテmポでなら前者の指で弾けても早い場合は移動が大きくなりますので、間に合わないこともあります。

 

 もちろん今までの前者は熟練すれば弾けるように成れる奏者もおりますが、本当にその箇所で必要以上なエネルギーを浪費するかはご本人が決めれば良いことですが、それより後者の新しい運指により今までの苦労を浪費を避ける意味でも弾けることが出来れば我々の寿命を延ばしてくれるということを強調します。そのような箇所で弾き過ぎてテmポが狂ったり、弾き辛いことで支障が出ることは皆さんも経験しているのではないでしょうか?

(始めから、私には無理だ!と決め、諦めてしまい「かしごま」=誤魔化して弾く演奏を取り入れる奏者も知っています)

 

 そこで3の指がどれだけ助けになるか訓練次第で使用出来る訳です。その変わり始めは音程が定まりにくい障害も出るかも知れませんが、熟知すれば音程の問題も減っていきます。御存知の方もいると思いますが、イタリアのトーでは初心者からロウ・ポジションの3番指を教育しており、この事を初めて知りました時は。「え~~、何でえ~~!?」と疑問を抱きました。しかし3番指を多様に使用するように成ってから理解出来るようになりました。プロでソロ活動している奏者の場合はハイ・ポジションを多様する為に3番指は日頃から使用出来ている筈ですので、慣れれば直ぐにロウ・ポジションでも使用出来るようになるというのが理想ですが、ロウポジションになりますと薬指=第3番指が手を広げたフォームで押さえる事になりますので、結構キツイ事もあります。益してや、日頃ハイポジションをあまり使用しないアマチュア音楽家の方はもっと時間が掛かると思いますが、これを制覇出来れば明るい未来が見えてくる筈ですので頑張って挑戦して頂きたいと思います。これはもちろんオケスタだけではなくソロ曲を弾く上においても3番指が強くなればとても有効です。 重複しますが、この第3番指が使用出来る様に成りますと大変便利ですので、まだ試してない方で余裕のある方は、まず下記の準備運動をしてから試して下さい。しかし無理はしないように少しずつ慣らしていって下さい。疲れて来たら別の練習に切り替え、再度戻って練習する事が早く上達できるコツです。これには数年間トレーニングを必要としますが、その実りは大きいです。必要な箇所の音符上に3と書き込みましたので、出来ない方は別の指を使用してくだい。

 

{ロング・トーン}

 とにかくイイ音を鳴らしたい!!!

と考えている人には必須ですが、管楽器同様このロング・トーンが良い音を提供できるコツです。

特にゆっくりな移弦の練習を沢山行って下さい。良い音を出したい!!!と思う方は必ずと言っていいほどこの練習が貴方の音を膨らまします。管楽器では当然ですが弦楽器にも十分当てはまります。そして自分の楽器のどこら辺の位置が一番良い響きがするか注意して見出して下さい。

 私はクラシック音楽コントラバス奏法を勉強し始めた日本の音大へ受験する頃は毎日最低4時間、各弦一時間ppp~fffまでを指板ー真ん中ー駒よりと20分ずつに分け練習していました。現在の貴方でも一週間行えば相当音が変わる筈ですし、弓が弦に吸い付く感覚を感じ取る事が出来るようになります。

また注意する事はppp、pp、p、mp、mf、f、ff、fffと音量の差をどれだけ感じながら演奏するかですが、ppp、pp、pを演奏する割合は70~80%にすることが骨です。これが出来れば大きな音は容易になりますし、大きな音の練習ばかりですと直ぐに腕が疲れてしまいますし、経済的ではありません。ロング・トーンでの大きな音というのはその人の腕の重さや腕力以上を越える事は出来ませんが、弓の吸い付き方に工夫を凝らせることが出来るかどうかでも変わります。

 

注意:大きな音量が欲しくて弓を沢山反させようと指揮者から指示が出ることがあります。

 しかし、弓がちゃんと弦に吸い付いていればあまり反すより、長い音が響いている方がよっぽど大きな音になり、反す回数を増やすとそれだけ響きが止まる回数が増えます。この吸い付いた弦の振動の響きが真の音ですので、必ずロング・トーンを行って下さい。行えば行うほど上手になります。出来る様になりましたら注文して来る指揮者には演奏してみせて上げて下さい♪